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笠原町商工会

あかんでモトモト。とにかくやってみよか。

おがわ けいじ
丸美陶料株式会社 代表取締役

先代の言葉が、丸美陶料の社長、小川さんの口癖となっている。「ほな、やってみよか」。小川さんは、何にでもチャレンジ精神旺盛で前向きだ。社員にも、外に出たほうがいいと背中を押す。新しい事に挑戦し、損得考えずにやってきたことが、結果的に色々なつながりとなってきた。

丸美陶料は、日本の焼き物を支えている窯業原料メーカーだ。オールドセラミックと呼ばれるタイル原料の製造。そしてニューセラミックと呼ばれる高純度の原料の製造。ニューセラミックは、電気部品として使われ、今日ではエレクトロニクス産業を影で支えている。オモテに出ない黒子の役割だが、各種産業には欠かせない存在だ。

タイル用原料メーカーとして、日本のシェア40%を誇る丸美陶料。原料メーカーとうたっているが、材料の用途開発メーカーという役割も果たしている。多種多様なお客様から様々な素材の相談を受け、それを前向きに検討し、とにかくやってみる。相談を持ちかけてきた企業と、地元のメーカーを結び付けたりもする。小川さんは人と人とを結びつける。

小川さんは、かつて若いころ、ドイツで新機械の研修を受けていた。その時のイギリス人社員と何年も後に再会し、フランスのブドウ畑の土から掘り起こした、材料の相談を持ちかけられたこともある。フランスで知人と会い、シャトーに泊まったという話など、話はつきない。小川さんの人とのつながりは、ボーダーレスだ。

ここ笠原には、強みは圧倒的にありますよ。 笠原町の最大の強みは、タイルに関してここで全てが揃うことだ。ここ地元で採れる材料、それを成形し、加工、焼成する技術。そして商社。こんな所は日本では他に一箇所も見当たらない。そして日本一の生産性がある。最大の強みを持ち、昔からよく知っている人たちが、集団となりかたまって仕事をしている。

しかし田舎ならではのマイナス面もある。地元の人はリスクを先に考えてしまい、ネガティブになってしまうというのだ。「そんなことできない、無理だ」と最初に壁をつくってしまう。そんな地元の人の中で、小川さんは皆を鼓舞し、前を向いて歩いていく。

業界トップメーカーの社長小川さんだが、その控えめな話しぶりや態度から、傲慢さはみじんもない。2016年に開館した「多治見市モザイクタイルミュージアム」のように、これからは笠原町のタイルの魅力を全国や世界に発信していきたいと話す。趣味の旅行をゆったりと楽しむのは、もう少し先の話になりそうである。