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笠原町商工会

与えられた所で綺麗に咲くかどうか。

みずの まさき
株式会社セラメッセ 代表取締役

創業昭和34年、建築物の外壁用タイルを中心に製造している、セラメッセ。水野さんは、父親、叔父のあと、経営を任された。社員52名を抱え、人一倍責任感が強く、真摯な姿勢で経営に取り組んでいる。

これまで大変だったことは何ですか、とお聞きすると、「大変なことの連続だった」という返事が返ってきた。リーマンショック後、売り上げは60%ダウン。今後どうなっていくのか。他も大変な時にどう乗り切るのか。

経営者がどう闘うか。 生産量が少なくなった時、シフト制にして稼働率をあげたり、思い切って営業を採用するなど勝負にも出た。「経営者が闘うと思うかどうか、前向きな気持ちかどうかが大切だ」と話す。そして当たり前のことを、当たり前にする、そんなシンプルなことが大切だと考える。そんな丁寧な仕事が信頼につながるのだ。

子どもの頃は、家業を継ぐのが嫌でしょうがなかったという水野さん。10代の頃から親元を離れ、全寮制の学校で寮生活を送り、大学時代は東京で暮らした。それがある日、親からの仕送りのありがたさに気づき、大学卒業後すぐに家業を継いだ。決して自分の望んだ道ではなかったが、これまでずっと真剣にやってきて後悔はない。

家業を継ぎ、泣きたくなるような3年が続いた。営業から始めた水野さんは製造の知識がなく、現場の工場長に教えを請いながら成長してきた。今は「社員をどうやって幸せにするか」という強い思いがある。会社をよくすることで、社員に利益を分配し、自分の会社がよくなることで笠原町をよくしていきたい。

セラメッセでは社員のために、自社のタイルが実際にどう使われているか見てまわる「現場見学」のバスツアーを行っている。ツアーで立ち寄る現場は、よい結果を残した現場のみならず、よくない結果となった所もまわる。その結果を真摯に受け止め、社員たちがタイル製造に少しでも誇りをもってもらえれば、と願っている。

現在63歳の水野さんだが、ようやく少しずつ時間ができるようになってきた。今後は「大好きなアコースティックギターの演奏や、山登りを楽しみたい」と笑顔で答えた。これまで経営で一歩一歩確実に歩いてきた水野さんなら、確実に山頂を目指せるはずだ。