岐阜県商工会連合会

  • 文字サイズ
  • 背景色

事業者・創業者の皆様へ

  • HOME
  • 支援事例
  • No.22-28 コロナを克服する刺繍ビジネスによる新分野展開支援

No.22-28 コロナを克服する刺繍ビジネスによる新分野展開支援

事業内容

衣料品製造卸、刺繍サービス、刺繍商品の販売

従業員

0〜5名

支援分野

  • 販路開拓
  • 事業承継
  • IT化
  • BCP
  • 設備投資
  • 資金繰り
  • 創業
  • その他

強み・特長

創業以来、婦人服の製造卸売事業を手掛けており、現在は50~60代女性向けのボトムスを中心に取り扱っている。自社工場のほか中国・韓国に協力工場を持ち、顧客の要望に応じて製品企画から製造、仕入及び外注先の確保、輸入業務まで自社で一貫して行うことで、コストを抑え製品を安定供給できることを強みに、大手量販店や衣料品メーカーとの取引実績を持つ

相談内容・課題

コロナに伴う外出・移動の自粛の影響により、衣料品の消費が大きく落ち込んだことで、アパレル業界全体が大きな打撃を受け、同社も販売額が落ち込んだ。影響を受け始めてから1年半が経過した頃、現状を打開するため同社の中嶋弥生さんより新事業の相談を受けた。
同社が新事業に選んだのは、小型の刺繍機を用いた「刺繍サービスと刺繍商品の販売」。この刺繍機では、手書きの絵をスキャンして、刺繍機が自動で絵を刺繍にすることができる。
最初にイメージしたのは、子供が描いた手書きの絵をスキャンし、自社で仕入れたハンカチなどに刺繍して個人顧客に販売するというサービスであった。しかし同社が取り組むサービスはまだ事例が少なく認知度が低い点、同社は卸売業主体のためBtoB取引が中心でBtoC取引の実績やノウハウが少ない点、BtoCの収益だけでは会社全体へのインパクトが弱いと想定される点が問題としてあがり、どのように新事業のビジネスモデルを構築するかが課題となった。

支援内容・活用した支援メニュー

新事業展開に向け2段階のステップごとに事業ドメインを設定することを提案した。最初のステップではBtoCに特化し消費者にアプローチすることで、刺繍サービスの認知度を高め、消費者のレビューを少しでも多く集めること。次のステップでは収益化を図るため、集めたレビューをもとに大型受注が見込める店舗や企業に営業展開すること目標に設定した。
次に補助金を活用して刺繍機を導入し、試作開発を行った。「刺繍で満たせる消費者ニーズ」を想定し、同社担当者と商工会でアイデアを出し合い「お絵描き刺繍バッグ」「わんちゃんお散歩刺繍バッグ」「刺繍命名書」などを企画し、ギフト需要の獲得を目指した。
同社初の試みとなるBtoCでは、まずInstagramを開設、続いてECサイトを構築し販売チャネルを確立。次にマルシェイベントや商業施設へ催事出店を行うことで個人顧客との接点づくりを行った。そしてBtoBでは、同社がマッチングを希望する県内事業所に対し、広域推進課や管轄商工会を通じてアポをとり、担当者が直接営業活動を行うことで販路開拓を行った。
【活用した支援メニュー】
①刺繍ミシンの導入とリーフレットの作成(小規模事業者持続化補助金)
②自社ECサイトの構築、HP作成、Instagramショップ連携、商材写真の撮影
 (ぎふネットショップ総合支援センター、専門家派遣)
③商工会によるイオンモール大垣への催事出店(伴走型小規模事業者支援事業補助金)

成果・改善効果など

商工会において設備導入と販売チャネルの構築を支援し、今後のプランが明確になった後には、同社担当者が持ち前のバイタリティと行動力を活かして、次々に人脈を広げ、各地のマルシェイベントに出店したり、店舗とコラボしたり、企業から複数の受注を受けるなど、新規事業は同社による自走化の方向に向かった。
BtoCにおいては、イベント出店を通じて直接お客様と接することで、企画した試作品の反応を見ることができ、新たな商品開発のヒントにもつながった。新たに得た消費者や企業との人脈とEC販売のノウハウについては、新規事業だけでなく、本業である婦人服の製造卸売業にもフィードバックすることで相乗効果が期待される。
BtoCにおいては、まだ取引実績は少ないものの、今後の地道な営業活動により一定の取引先を確保できれば、本業を支える第二の事業部門として、外的環境におけるリスクに強い企業へと更に成長することが見込まれる。

事業者の声

当社の刺繍サービスが広く認知されるにはまだまだ程遠く、多くの課題があります。今後も引き続いて商工会さんにも支援して頂きながら目標売上を達成したいと考えています。