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笠原町商工会

タイル文化を創造していく。

とらざわ のりよし
株長江陶業株式会社 代表取締役

タイルの企画販売を行っている、タイル商社の長江陶業。二代目社長の虎澤さんは、日に焼けた肌に白いシャツが似合う、海の男だ。学生時代のヨットの経験から、中高生時代の同級生と楽しむヨット。クラブレースに一緒に参加するという活動は、30年以上続いている。海の上では、普段は出来ないような話も飛び出し、仲間意識はますます強まる。

これまでのタイルの歴史は、長江陶業の歴史と重なる。戦後、その使われ方は常に変化してきた。昭和30年代のお風呂や台所シンクの水まわりタイル製品。バブルの頃の、大型分譲マンションの外壁タイル。そして、バブルがはじけた後のインテリアとしてのタイル。現在は、一般住宅や店舗で使われる、レトロでヴィンテージなおしゃれタイルが人気だ。

変わりつつあるし、変わらなきゃいけない。 約50年の間に使用目的は変わり続け、それに合わせて営業スタイルも変化してきた。近年インテリアとして使われるようになり、「直接反応があるのが嬉しい」と顔をほころばせる。外壁タイルに比べ、一つひとつの仕事は手間がかかるが、面白みがある。お客さんからの感謝の気持ちが伝わり、やりがいにもつながる。2016年開館の「多治見市モザイクタイルミュージアム」の開館にも関わり、地域のことをより知るようになる。虎澤さん自身とても勉強になった。

「モザイクタイルミュージアム」のショップで人気の「陶敷(とうじき)」という鍋敷きも長江陶業が開発した。ネーミングもユニークだ。このタイルは、これまで交流のなかった、産地の茶碗業界とタイル業界が交わることにより、成功した商品である。陶器制作の技術をいかし、タイルの表面に印刷を施した商品である。

さらに新しい試みとして、着物の友禅作家とのコラボによるインテリア小物も開発中だ。タイル商社である長江陶業だが、近年は雑貨としてのタイルの商品開発・販売も行っている。これまでにない発想で、社内のスタッフを泣かせつつ、試作を繰り返し新商品開発を行っている。ここはラボラトリーのような役割も果たしている。

ここは「日本のタイルの聖地だ」。焼き物をつくる材料が圧倒的に採れ、全てのものが備わっている。焼く時に使用する、窯道具である耐火物のメーカーさえもある。日本のタイルの80%はこの産地だ。これからは、その最大の武器を認識し、地域の振興につなげていくことを願っている。これまでなかった人や技術の交流、つながりによって、さらに次のステージに行く段階なのかもしれない。