北方町商工会
商工会未来創造プラン
1.商工会未来創造プランの計画概要
岐阜県内の42商工会並びに県商工会連合会は、商工会組織共通の目的を見定め、一体的にその実現を目指す10ヶ年計画「商工会未来創造プラン」を策定し、平成29年度の岐阜県商工会連合会臨時総会においてこれが承認されました。これを受け平成30年度より本プランに則った事業活動を県下全役職員が一丸となって遂行しています。
商工会未来創造プランは、国や県、各市町村の商工業の現況と、政策の方向性を踏まえた岐阜県商工会組織における共通指針と、その指針に対応した実行計画(アクションプラン)で構成されています。
本計画の遂行をもって商工会は、地域事業者はもちろん、それぞれの商工会地域への貢献を果たしていきます。
2.岐阜県商工会組織を取り巻く現況
各種統計データからは地域を支える事業者の減少が見受けられます。その減少は「やりがい」と「付加価値」の不足から事業承継や新規創業が停滞している状況が存在しています。
今後進展するであろう著しい事業所数の減少。それは同時に事業者様の経営パートナーである地域の商工会の存在価値も同時に失われる事を意味しています。
ただただ静観していては訪れるだろう、この恐ろしい未来を、絶対に回避しなければならないと私たち商工会は考えました。
全国的に見た岐阜県の事業者数
岐阜県における事業所数の変遷
全国的に見た岐阜県の事業者構成
岐阜県内の地域別に見た事業所動向
事業者数の減少を招く本質的要因とは
創業件数を大きく上回る廃業件数
事業継承の停滞
責任に見合うやりがいと利潤の不足
時代の変化に伴う経営活動の難化
3.商工会未来創造プランの策定の目的と背景
この前代未聞の経営高難易度時代において、事業者様に経営上の様々な課題を達成いただき、あらためて「経営活動上のやりがいと、付加価値を享受いただく未来」そして個々の事業者様の活躍を起点として「地域経済が活性化、賑わいを取り戻す未来」そして「人々の豊かな生活が支えられる未来」こうした未来を実現する事こそが私達岐阜県の商工会組織が望む未来像です。
既存の敷かれたレールを組み替え、地域に根付く公的支援機関として、新たな未来の創造に着手する必要があると考えました。
商工会が一体何をどうしたら、理想の未来を実現する事ができるのか?私達が実施する既存の経営支援の在り方を一新する必要があるかもしれません。さらには既存の商工会という枠に縛られない組織体系の見直しを図る必要があるかもしれません。
理想の未来像を実現するためには、こうした幾多もの壁(課題)を商工会は乗り越える必要があるのです。この壁を乗り越える手段を明文化し、県下商工会が一体的に取り組む十ケ年計画が「商工会未来創造プラン」となります。
そして、このプランの遂行により、それぞれの地域の特色を活かしながら、計画にもとづいた仕組や制度のもと一定の支援力と運営力の強化を目指していく事が本計画の目的となります。
4.商工会未来創造戦略と計画構成
商工会未来創造プランでは「商工会は地域事業者の抱える経営課題を発掘、それを解決へ導く地域密着型コンサルタント組織として、地域と事業者に真に貢献する経済団体へと生まれ変わる」を基本戦略として掲げ、地域の事業者の皆さまに改めて「やりがい」と「付加価値」を実感頂くための団体組織として活動を新たにしていく事を方向性として計画化しています。
この地域密着型コンサルタントの立ち位置を確立、実現するためには、事業者を支援するための能力強化、組織体系の見直し、安定運営のための仕組作り、支援時間捻出のための業務効率化等、商工会内部の諸所の機能改革に向けた取り組みを実施する必要があります。
それを各機能別に方向性と取り組み内容を明文化したものが下記図表の示す未来創造実行プログラムです。
未来創造実行プログラム
-
サービス戦略
商工会の提供する価値は何かを再定義します。時代に即した新たな支援の在り方を検討し実行に移ります。
-
組織戦略
独自の組織構造を有する商工会。現存の体制を活かしつつ事業者支援を中核に据えた組織体制の再構築を図ります。
-
情報化戦略
商工会だから保有できる情報資産とは?事業者様の有する経営ニーズです。有効な事業者支援に寄与する情報の収集・分析・活用体制を整備します。
-
財務戦略
事業者に価値を提供し続けるための永続的な安定運営が必要不可欠です。県下商工会組織における財源問題の解消と安定化を図ります。
-
マーケティング戦略
商工会が存続し続けるためには商工会組織の役割と存在意義を内外多くの方に認知いただくことが重要です。商工会の認知を促すPR活動を実行します。
5.未来創造実行プログラムに基づく具体的遂行策
商工会組織を構成する機能を見直す5つの戦略の実行によって商工会地域の明るい未来へ貢献を目指します。それぞれの戦略の目的と取り組み内容は以下の通りとなります。
それぞれの戦略に則った14の具体的遂行策を計画化しており、商工会の役職員はこの14の具体策に紐づいた各種施策をPDCAを回しつつ着実な遂行を目指していきます。
6.未来創造プランの実行スケジュール
未来創造プランの前半5ケ年において、前述した具体的遂行策をスケジューリングしアクションプランとしてとりまとめました。本アクションプランにそって同遂行策を遂行し、それぞれの戦略理念の実現に向け取り組んでいます。
サービス戦略 進捗度
- 平成30年度
-
プロセス・コンサルティングの運用シミュレーション実施
・県下44名の職員と共にモデル運用を開始。支援計画を用いた支援手法の精査を実施
・運用ルール、研修制度の企画設計を実施 - 令和元年度
-
プロセス・コンサルティングの 正式運用開始
・県下全経営指導員全員による正式運用を開始(1人1件)
・実際の支援を模した演習形式の研修会を開催
・スーパーバイザーのスキル評価 - 令和2年度
-
プロセス・コンサルティングの 正式運用(2年目)
・県下全経営指導員による支援計画策定件数(1人2件)
・経営支援員も同支援活動に従事開始。経営支援員を対象とした研修会を開催。 - 令和3年度
-
プロセス・コンサルティングの正式運用(3年目)
・県下全経営指導員による支援計画策定件数(1人3件)
・経営支援員による支援計画策定件数(1人1件)
・スキルマップを利用したOJT(AM) - 令和4年度
-
プロセス・コンサルティングの正式運用(4年目)
・県下全経営指導員による支援計画策定件数(1人5件)
・経営支援員による支援計画策定件数(1人1件)
・支援スキームの成果検証
組織戦略 進捗度
- 平成30年度
-
H32年度広域連携運用開始に向けた制度設計を実施
・広域連携実施エリア(案)策定
・AM・BM役職基準を設計
・同額負担方式導入調査実施 - 令和元年度
-
制度の具体化へ向けた各種 説明会を実施
・AM・BMの選任(試験の実施)
・広域連携体、新キャリアパス、ポイント制度導入等に関する説明会の開催を行う。 - 令和2年度
-
特定ブロックにおける広域連携のモデル運用開始
・一部ブロックにおいて、AM・BM設置を初めとする広域連携の試運用を開始
・ポイント制度の試運用開始 - 令和3年度
-
県下全域において広域連携体制の正式運用開始
・県下全ブロックへのAM・BMの配置完了
・新キャリアパスの正式導入、それと併せた制度説明会の開催
・新昇格試験運用開始 - 令和4年度
-
広域連携正式運用2ケ年目、事業連携、支援連携を遂行
・BM・AM会議、教育研修の重点開催による連携状況管理・把握
・AMIによる各エリアの実績管理目標管理の実施
・同額負担の検討開始
情報化戦略 進捗度
- 平成30年度
-
独自の「事業所支援WEBシステム1.0」開発着手
・情報化を取巻く内外環境調査を実施(他県、他機関の情報化運用について調査を実施)
・システム要件定義を作成 - 令和元年度
-
「事業所支援WEBシステム2.0リリース」と活用体制整備
・Ver1.0システムリリース
・システム活用マニュアル作成
・Ver2.0新機能の要件定義、開発実施
・システムレビューの実施 - 令和2年度
-
AMによるシステム運用シミュレーションの実施
・事業所支援WEBシステムの活用を通して各エリアの支援実績、運営実績を測定、管理できる体制整備に向けたシミュレーションを実施する。
- 令和3年度
-
全県下に設置されるAMに向けシステム活用をサポート
・システムを用いたエリア内マネジメント手法に関する説明会を開催
・情報のインプット・アウトプットが適切に行われる制度提案を実施 - 令和4年度
-
業務系システムの導入を検討。効率化度合を測定する
・事業所支援システムで賄えない業務系システムの導入を検討
・旅費計算や出張管理といった勤怠情報を効率管理するシステムの必要性を検証する
財務戦略 進捗度
- 平成30年度
-
商工会における財政問題の意識付け、見える化の実施
・商工会によって様々な収入構造を可視化し参考材料として手数料参考表を作成
・商工会の財務特性を可視化するレポートを商工会別に作成 - 令和元年度
-
支援活動を財源へ還元する 支援メニュー表を作成
・レポート提供開始
・希望商工会(モデル商工会)を 対象に財務フォローアップ実施
・支援メニュー表の作成と提供準備の実施 - 令和2年度
-
商工会に向けた伴走支援を継続実施。PDCAを遂行
・財務特性を可視化するレポートを定期活用し、財源状態を定期フォロー
・状況に応じて適切な財源獲得 手段を提案、実行をフォロー - 令和3年度
-
AMによる財源状況の把握・関与をサポート
・全県化に設置されるAMIに向けエリア内の財源フォローの実施手法に関する説明会を開催。
・各商工会の財務状況を把握するレポートツールを提供 - 令和4年度
-
5年間の財務状況の改善度の総検証を実施
・継続的なフォローアップの成果を検証(打ち手と改善効果の因果関係を測定)
・エリア別の財源レポートを作成しAMに提供
財務戦略 進捗度
- 平成30年度
-
商工会の存在価値をPRする諸活動の展開を開始
・マーケティング戦略でのターゲットを行政機関に設定、行政に商工会の支援の重要性を訴求
・初の試み行政懇談会における事例発表を企画、実行 - 令和元年度
-
商工会を事業者はもちろん、関係機関へPRするHPを作成
・商工会の存在意義を効果的にPRする岐阜県一体型商工会HP設計開発を実施
・地域貢献推進指針の説明・普及 - 令和2年度
-
立ち上げた広報委員会へのPR策の段階移譲を実施
・財務特性を可視化するレポートを定期活用し、財源状態を定期フォロー
・状況に応じて適切な財源獲得 手段を提案、実行をフォロー - 令和3年度
-
AMを核としたエリア単位での広報運用体制を整備
・AM・BMIによるエリア内の各行政機関に向けた働きかけの遂行マニュアルを作成・提供
・外部発注を利用した県下共通広報ツールの継続作成を整備 - 令和4年度
-
一連のマーケティング活動の成果検証を実施
・行政機関をターゲットに見定めた広報活動による成果検証を実施
・活動、成果をマーケティング年表として取りまとめを実施